小島秀夫やん…『コペンハーゲン・カウボーイ』ネタバレ解説・感想・あらすじ/Copenhagen Cowboy (2022)
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どーも、レフン大好き丸山です。 今回は『コペンハーゲン・カウボーイ』ですよ。
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引用:https://www.imdb.com/title/tt16969944/mediaviewer/rm294731521/ |
『コペンハーゲン・カウボーイ』はNetflixオリジナルドラマで、ファン待望のニコラス・ウィンディング・レフン最新作です。
日本語吹替はありません。
これは何ですか?
「未解決」です。
完結していないんです…。
NWRとは
世界的に高く評価されているクリエイター、ニコラス・ウィンディング・レフンの最新作である『コペンハーゲン・カウボーイ』では、オープニングなどで「NWR」が表記されています。これは、ニコラス・ウィンディング・レフンの略で、彼の作品に使われるブランディングです。レーベル名としては「byNWR」が使われています。
「ニコラス・ウィンディング・レフン」だと長すぎるのでNWRと書くのが分かりやすいですね。
ニコラス作品では彼が主要な役割を担っており、制作、脚本、監督などを手掛けています。
作風としては、女性を中心としたストーリーラインや、青の照明のみ・赤の照明のみといった印象的なライティング、コントラストの明瞭なカラーグレーディング、犯罪や事件の渦中における陰鬱な状況などが特徴となっています。
ストーリー展開を効果的に印象付けるエロティックな要素が駆使されるため、若干成人向けな場合があります。『コペンハーゲン・カウボーイ』も家族向けではありません。
NWRは、好きな人には強烈に刺さる作風となっています。
最近のNWR
モデルの苦悩を描いたトラウマ続出の映画『ネオンデーモン』や、汚職まみれの警官を中心としたドラマ『トゥー・オールド・トゥー・ダイ・ヤング』などがあります。
どちらも好きですが、『ネオンデーモン』は中毒性が高く、20回ぐらい観ちゃいました。オススメです。
あらすじは?
不思議な力を持つミウが複数の雇い主を渡り歩きながら、仲間を助けていきます。
最初は売春宿。
次は死体処理中華料理店。
その後は報酬目当てにギャングの仕事を請け負います。
各話の展開
1話:女性が絞殺される
2話:フルダを手伝う・売春宿全焼
3話:シモーナの幽霊と遭遇し、原因を探る
4話:ニクラスを返り討ちにする
5話:二クラスが姉の力を借りる
6話:巨人を探せ!(?)
タイトルの意味
デンマークの首都、コペンハーゲンが物語の舞台です。因みに監督がコペンハーゲン生まれでもあります。
カウボーイは本来は牛飼いなど牧場関連の言葉ですが、本作に牛や牧場は登場しません。養豚場と豚は登場しますがカウボーイとは関係なさそうです。
そのためカウボーイの意味は他の比喩的な意味の中から、一番合いそうなものは「無茶な運転をする人」になりそうです。
無茶をする人、が誰を指すかは明確ではありません。裏社会の犯罪者が多数登場しますが、タイトルは複数系ではなく単数形であるため、特定の誰かを指すと考えられます。
結論として、コペンハーゲンカウボーイは、主人公の事を指すと思われます。コペンハーゲンの無茶野郎です。ただし、主人公は女性。カウボーイの象徴として正しいかは微妙な所です。
牛飼いが女性の場合にはカウガールという言葉もありますが、比喩的な使い方の場合には性別に関係なく「カウボーイ」が使われるのかもしれません。というのも、女性を指す比喩だからといって「コペンハーゲンカウガール」としてしまうと、あまりにも女性に限定され過ぎて想像の余地がなくなってしまいます。
というわけで主人公ミウがコペンハーゲンの無茶子さんなのではないかと思います。一番無茶をしている人物だからです。
ただし、タイトルは複数形ではありませんが複数の人物を指している事も考えられるので、その場合はミウだけでなく、主要な人物達を指している事になります。
登場人物
主な人物の全体像を解説していきます。
主人公ミウ
何らかの超自然的な能力を持つ女性。過去の記憶を持たないため、ミロスラブに尋ねます。
なぜかメチャメチャ格闘が強いです。レベルカンストしてそうな激つよ女性です。
ロゼラ
売春宿の女主人。ミウの力で妊娠するために夫とのセックスの時にミウを同席させます。
アンドレ
ロゼラの弟。PVで歌っているアーティスト。スヴェンに暴力を振るいます。
スヴェン
ロゼラの夫。小太りで眼鏡の中年で目立たない存在ですが、第一話でのエロシーンはどちらもスヴェンです。最初が商品である女性に手を出し、次に妻との本番行為をミウに同席させるシーンです。
なぜかスヴェンは通常の会話がなく、豚の泣き声を発します。蹴られる時には豚の絶鳴を発する奇妙なシーンがあります。
マザー・フルダ
中華料理店ドラゴンパレスを経営する女性。アイの母親です。アイを人質に取られながら、死体処理の仕事を続けています。
チャン
フルダの娘アイを人質に取るギャングのボス。ファイトクラブでの格闘が趣味。
頭痛持ちですがミウの力で回復します。人質解放の条件として多額の現金を要求したり、ミウに結婚を迫りますが、最終回ではラスボスとしてミウと戦います。アイを人質にする事に拘る理由が最終回で語られます。
二クラス
売春宿から逃げ出した女性を絞殺する男。ミウを追いかけましたが返り討ちにされ、豚に喰われます。体中がボロボロになり杖を突いて歩くようになりますが、超自然的な姉の力を借りるため姉を生き返らせます。
二クラスの姉
超自然的な存在となっている彼女は、母親の血によって生き返ります。古風なドレスを着ていましたが、復活後は赤いジャージで絶叫し、目からビームを放ちます。死体は生きているかのように状態が良く、単純に死んでいたのとは違うのかもしれません。
ミロスラブ
謎の日本人
謎の日本人がミロスラブとビデオチャットで会話しますが、正体が分かりません。
実はこれ、日本で超有名なクリエイター、小島秀夫本人です。役名も「Hideo」となっているため、本人役として出演しているのかもしれません。
何の脈絡もないため、監督が好きか仲がいいのかもしれませんね。
因みにNWR本人は小島秀夫のゲーム「デスストランディング」に出演しています。お互いの作品に登場するなんてバチコリ仲良しですね。
みどころは?
沈黙
NWR作品の特徴として沈黙が挙げられます。セリフを詰め込まず沈黙が多用されるのです。独特な間合いが行間を読むように作用します。
距離
会話する人達の距離や立ち位置が絶妙で、個性的でありながら自然な印象を与えます。
暴力
やや激しめの暴力がありますが決して過多でもなく、文脈に沿った妥当な展開として作品を盛り上げています。
キーワード
ラッキーコイン
ギャングのボスに会いに来た主人公は「ラッキーコイン」と伝言します。これは主人公の事だと分かるフレーズでした。幸運を呼び込む力がある主人公をそのように呼んでいたのでしょう。
因みにラッキーコインの例として、拾ったコインを財布に入れておくというものがあります。コインを見つける事自体が幸運であるため、そのコインは使わずに財布にしまっておくと幸運を呼ぶというものです。海外ではメジャーなラッキーアイテムです。
シモーナ
第一話の冒頭で絞殺される謎の女性は、その後の展開で売春宿から逃げ出した女性である事が分かります。たびたび名前が出てくるシモーナですが、これは逃げ出して絞殺された女性の事です。売春宿ではミウに優しくしてくれた唯一の人物でした。
一緒に逃げればミウの幸運パワーでうまく逃げ出せるのではと期待されましたが、ミウは一緒に逃げませんでした。そのためか、シモーナは殺されてしまいます。
そしてニクラスファミリーの家にフルダとミウが訪問した際、ミウが見た幽霊の正体はシモーナです。
水中に沈んでいる女性のイメージは、ミウがシモーナの死因を探った結果見たビジョンなのでしょう。
オススメポイント
NWRファンにはもちろんオススメですが、初めてNWR作品を観る人にもオススメです。『ネオンデーモン』のようなグロいシーンもなく、比較的観やすい作品です。
集中してしっかり観れる時間が取れる時に観るのが良いでしょう。セリフを取りこぼすと理解不能な映像ばかりになりがちな作品です。
続編はある?
あるんじゃないでしょうか?
謎のまま終わってしまいました。(巨人を探せ!)
よほど不人気作とならない限りは作られる気がします。
どこで観れますか?
Netflixオリジナルなので、Netflixでどうぞ。
https://www.netflix.com/jp/title/81402987
裏話
豚殺し
本作には豚を屠殺するシーンが撮影されていたのだとか。動物愛護団体からは該当シーンをカットするように申し立てられたり、警察が動いたり、動物園がコメントしたりといったプチ騒動になっていたようです。
ロゼラの夫スヴェンは豚の絶叫を発する事がありますが、もしかするとこの絶叫は屠殺時の豚の声なのかも…?と想像してしまいます。
完全に想像ですが、屠殺シーンを脈絡なく映したとは考えられず、養豚場が登場する事から、シナリオ上の妥当な展開としてガチシーンを撮影していたのかもしれません。
動物を撮影のために殺すというのはあまり好意的には受け入れられませんが、我々の食のためには毎日殺されている事実があり、ただ忌避すれば済むというものでもないのが現実です。
実際、使用されたのは養豚場の豚であったらしいのですが、撮影用に…というのはやはり難しい問題ですね。
余談ですが
音楽
NWR作品の特徴として挙げられる事の多い要素として音楽があります。
『コペンハーゲン・カウボーイ』でのBGMは冒頭から中間までは控えめで、特に会話の際は基本的に音楽がありません。空調のようなノイズが鳴り響くのが印象的です。
しかし後半になってくると場面に合った音楽が多用されます。
全編を通して音楽が多いのではなく、使用される音楽自体に特徴があるのがNWR作品です。
『コペンハーゲン・カウボーイ』ではデジタルロックのような重めのサウンドが鳴り響きます。
豚が象徴するもの
本作での豚が象徴するものは何でしょうか?
直接的には、マザー・フルダの商売道具として機能しています。
外部から持ち込まれた死体を小さく切り分けて、豚の餌にしているのです。作中で最もダークな部分となっています。
その豚が死んでしまったため新たに豚を買う必要があり、養豚場やニクラスファミリーを訪問しました。
他には、なぜかロゼラの夫スヴェンが豚の声になっています。相槌を打つ時に豚の泣き声、お仕置きをされる時には豚の絶叫を発します。
邪魔者扱いされるスヴェンと、死体処理に必要とされる豚達。
スヴェンは邪魔者にされながらも、妻を妊娠させる種馬的な仕事に期待もされていました。
明確な答えはまだ見つかっていませんが、社会の底辺を支えるものとでも言いたいのでしょうか?
ミウの超能力まとめ
- ロゼラの妊娠(本当に妊娠したかは定かでない)
- シモーナの脱出(脱出は成功、その後に死亡)
- 赤ちゃんの蘇生
- チャンの頭痛と不眠を治療
- シモーナの幽霊を目撃
- シモーナの死因を霊視
- 森を彷徨い仲間に遭遇
明確な奇跡は赤ちゃんの蘇生ですね。しかし正体が不明な謎の力です。
ミウは気づいたらそこにいた的に現れ、親も不明です。
最後には同じ服装の女性達と遭遇し、どんどん増えていきます。
彼女達は超自然的に発生した自然の産物なのでしょうか?
謎が深すぎて読み切れません。
続編に期待したいところですが、ニクラスの姉ビームで全滅!巨人を探せ!でこれ以上先がないという可能性もあります。
別の視点として、姉ビームの後にHideoが登場していますが、時系列が入れ替わっている可能性があります。この結末には2つの見方があります。
ミウはまだ生きている
生きているミウからミロスラブを助けるためにHideoがアドバイスしたというパターン。この場合、時系列通りの展開であり、続編に期待できます。
このシーンが過去である
Hideoがアドバイスした事でミロスラブがニクラス姉に助けを求めたパターン。これだと時系列が入れ替わっていますし、姉ビームでミウ達が全滅したと想像できます。この場合は続編に期待できません。
このまま終わってくれても楽しめるのですが、続きが気になりますよね。
お願い、続編作って!!
因みにHideoの言葉「巨人のところへ向かえ」の直後、エンディングの歌の出だしが「I’m back!」なのは続きがあると期待させているのでしょうか…???
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